2008年度春学期末卒業式式辞


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 皆さん、卒業おめでとうございます。本日、卒業されるのは、経済学部10名、法学部10名、総計20名の皆さんです。ここに列席されているすべての教職員とともに、心からお祝いいたします。また、皆さんの勉学をさまざまな形で支えてこられた関係者の皆様に、心からお慶びを申し上げます。

 本学は、1997年度より、カリキュラムにセメスター制を取り入れ、それに伴って、9月に春学期末卒業式を挙行してきました。最近は、多くの外国の大学に合わせて、大学への10月入学、9月卒業を実施する日本の大学も現れています。いろいろ問題もありますが、セメスター制度を取り入れることで、人々に大学入学や大学卒業の機会がより多く与えられることが望ましいものあると考えています。

 ところで、最近の1週間のニュースを見ても、現在、世界が大転換の時代に入っていることが、ますます明白になってきています。皆さんもいくつかの例がすぐ思い浮かぶことでしょう。

 まず、アメリカのサブプライムローンの破綻で明らかになった、アメリカの金融危機は、証券会社リーマン・ブラザーズの経営破綻という事態を呼び起こしました。負債総額は日本政府の税収をはるかに上回る63兆7500億円といわれています。ライブドアがニッポン放送の株式取得に動いたとき、ライブドアの資金調達にかかわったのがこのリーマン・ブラザーズであったことを記憶されている方もあるのではないでしょうか。かれらのビジネスモデルに問題があったことがようやく公然と語られるようになりました。また、国際社会において、政治経済のアメリカへの1極支配が終わり、世界の多極化、あるいは無極化へ進みつつあることが見えてきてもいます。

 第2は食の問題です。中国で作られた冷凍餃子の問題からはじまり、日本の米卸売り加工会社が有害物質を含んだ汚染米を食料米と偽って販売し、しかも農水省がそれを見逃していたという問題です。食の問題を含め、われわれのライフスタイルそのものを考えなおさなければならないということをあらわしています。

 第3は、すでに以前から問題にされている、地球状の気候変動に関わる問題です。これまで考えられなかった勢いで進行している地球環境の悪化にいかに対処するかという問題です。7月の洞爺湖サミットが、前回のG8サミットに引き続き、地球温暖化による危機への対応として低炭素社会への転換を打ち出しましたが、各国政府の利害の対立は続いています。社会、企業、そして大学も対応を迫られています。

 しかし、すべてこれらは、突然、起こったことではありません。証券会社におけるビジネスモデル、食の問題、環境問題のいずれも、多くの専門家がその問題性を指摘してきたことです。皆さんが大学で学んだことは、テレビや新聞でおおげさに取り上げられるような問題ではなかったかもしれません。しかし、個々の具体的な事例から、世界の大転換の時代の行方をどのように見通し、新しい指針をいかに立てるか、といった問題を本当に考えるための基本を学んだのです。

 「神は細部に宿りたまう」という言葉がありあます。些細なことのように見える具体的な事実を追求することで、実は、全体の眞の像が見えるのだ、という意味です。

 皆さんは大学で経済学、法学を学んだだけでなく、より幅広い知識を習得して卒業されます。どうかこれまで学んだことを土台として、人生を切り開いていってください。また、大学や学生生活のなかで、勉強はもとより、友人や教職員とのさまざまな出会いや、社会的な体験をされてきたことと思います。学生時代の多くの出会いや体験は、これからの皆さんの人生を支える、太い柱の1つとなるものだと思います。

 大阪経済法科大学はこれまで、3万7千人の卒業生を社会に送り出していますが、今後、思わぬ場所で本学を卒業した先輩や同級生と出会うことにもなるでしょう。そしてまた、皆さんも、どうかこれからは本学の先輩として、後輩たちのためにもいろいろ力を貸してください。

 最後に、本学のキャンパスのように、起伏のある場所を歩きまわる機会は今後少なくなることと思います。卒業生の皆さんが、今後とも健康で充実した社会生活を送られることを祈念して、私の式辞といたします。